これまで、ワキガがなぜ発生するのか科学的なメカニズムを解説したり、ワキガかどうか判断する方法などについて紹介してきました。
今更ながらの感じもしますが、ワキガの原因について、今一度、おさらいしておこうと思います。
ワキガが発生する科学的なメカニズム、ニオイの原因物質など理屈について知りたい方はこちらの記事を読んでみて下さい。
今回は、「あなたのワキガの原因は遺伝?実は食べ物やストレスが要因の可能性も有!」と題して、ワキガの原因として一般的に言われている遺伝の他に、食べ物やストレスが1つの要因となることについてもお伝えします。
ワキガの原因を知ると、対策法が分かります。
ワキガは遺伝しますか?
まず、ワキガが遺伝するのかという事についてですが、ワキガは『確実に遺伝』します。
近年の研究によって、1番から23番まである人間の染色体のうち、16番目の染色体に存在する「ABCC11遺伝子」という遺伝子が、『耳垢のタイプ』を決めていることが分かっています。
そして、耳垢には「湿型(WET)」と「乾型(DRY)」の2種類があります。
また、ワキガと耳垢のタイプは相関性が非常に高いという研究結果も発表されており、現在では、病院やクリニックなどでもワキガかどうかの簡易診断に、耳垢のタイプも調べることは当たり前となっています。
つまり、ワキガの体質は、優性遺伝し、
そして、遺伝するのはアポクリン汗腺の数が多いか少ないか、また1つ1つのアポクリン汗腺の大きさが大きいか小さいかです。
なお、欧米でのワキガ発現率は、白人(ヨーロッパ)系で70%以上、黒人(アフリカ)系になると90%以上となり、大多数の人がワキガ(かつ耳垢は「WET」)だと言われています。
外国人の体臭がキツイということとも関係していますね。
対して、日本人や韓国・中国人などアジア系の人種では、ワキガ発現率は10~15%程度(10人に1人ぐらい)だそうです。
なお、北米アメリカ先住民(インディアン)や、南米の先住民(インディオ)にも、耳垢のタイプに「乾型(DRY)」が多いことから、彼らは人類学的にも、日本人と共通した祖先を持つと言われています。
耳垢型の差異による耳垢腺・腋窩アポクリン腺組織の解剖学的差異は、分泌物の有無として認められ、またABCC11の遺伝子型の違いによると判断された。
引用元:科学研究費助成事業(KAKEN)「耳垢決定遺伝子ABCC11は膜輸送分子複合体形成の基盤遺伝子か」
ここで言っている「腋窩アポクリン腺組織」がつまり、ワキガの元となっている通称『アポクリン汗腺』のことです。
参考文献:科学技術振興機構(JST)
「ヒトの耳垢型がABCC11遺伝子の一塩基の変化で決定されることを発見」
参考文献:東京女子医科大学「ビッグデータ解析により、皮膚科に関連する7つの特徴と関連の強い遺伝子領域を新たに発見!」
・ワキガは、両親から遺伝する。片親だけワキガの場合50%、両方がワキガの場合は75%の確率で、子供もワキガになる。
・耳垢のタイプが「湿型(WET)」である場合、ワキガの可能性は高い。
・ワキガや耳垢のタイプを決めているのは、「ABCC11遺伝子」
ワキガの原因。食べ物との関係は?
実は、ワキガの強弱(ニオイや黄ばみの強さ)に関しては、遺伝だけで全部決まるものではありません
通常、ワキガは、思春期(第二次性徴期)頃から、ホルモンの分泌が活発になり、それに伴いアポクリン汗腺が発達してワキガが発症し始めます。小学生高学年~中学生でワキガに悩むお子さんが多いのもその理由です。
しかし一方で、思春期を過ぎ、成人になってから、突然ニオイが気になりだしたという方もいます。
特にこのような場合は、食生活が原因の場合もあります。
ワキガの発生するメカニズムの回でも解説したように、
つまり、動物性たんぱく質や脂質の多い食事をしていると、その分「アポクリン汗腺」からも、多くの【皮脂】や【たんぱく質】が分泌されてしまい、結果、ワキガも強くなるという理屈です。
また、食生活の欧米化は元より、スナック菓子やインスタント食品の日常的な摂取による脂肪分の取り過ぎにより、ワキガ発生の低年齢化を招いているという指摘もあります。
肉食が多い、脂っこいものが大好きなどの場合は、食事をヘルシーな魚や野菜中心に変えるだけで、ワキガが改善する可能性があります。
とは言っても、自分の若い頃を思い出すと、10代は絶対に魚よりも肉、野菜に至っては「そんなものいらねーよ!」という感じだったので、食生活自体を変えるのは難しいかと思います。
この辺の若い世代の「食の好み」と「ワキガ」は切っても切れない関係なのかもしれません。
ところで話は変わりますが、世界的には、日本人は醤油臭く、韓国人はキムチ臭い、インド人はスパイス(カレー)臭いと言われています。
それほど、食べ物と体臭(ニオイ)の関係は密接なのです。
以上のように、食べ物と体臭の関係からも、肉食の多い欧米人に、ワキガ発生率が高いのも納得出来る話じゃないでしょうか?
ワキガ対策の食べ物はどんな物を食べたらいいですか?
動物性のたんぱく質は、分解する時にアンモニアや硫化水素などの「あの独特のニオイ」の元になります。
対策としては、動物性のたんぱく質を多くとる人は、食物繊維が豊富な野菜や海藻類などの食物も合わせて取ることが大事です。
また、たんぱく質を代謝(分解)するには、ビタミンB6が必要不可欠です。
ビタミンB6は、カツオなどの赤身の魚、レバー、大豆、卵、鶏肉、バナナなどに多く含まれているので、これらも一緒に食べるといいです。
つまり、欧米型の食事よりも、日本古来の和食がおすすめということになります。
そして、脂(油)が酸化するとクサくなるので、体内の脂(油)が酸化しにくくなる「抗酸化物質」が多く含まれる食品やサプリメントを積極的に取るようにするといいでしょう。
「抗酸化物質」には、ビタミンCとビタミンE、βカロテン、ポリフェノール(アントシアニンやイソフラボン、カテキン、ケルセチンなど5000種類以上有)などがあります。
但し、ポリフェノールなど抗酸化物質は、摂取後4時間ほどで効果は消滅してしまうので、こまめに摂取することがポイントです。
ワキガの原因の中に、いきなりワキガになることはありますか?
もしかしたら、ワキガに突然なったかも?と思うことがあるかもしれません。
しかし、これは、元々ワキガの体質を持っていたところに、何かをキッカケにしてアポクリン汗腺が活発化することで発生します。
ワキガは基本的に遺伝によるものなので、ワキガ体質でない人が他人からうつって「突然ワキガになった」とかいうことは無いので安心して下さい。
詳細が知りたい方は、こちらをご覧下さい。
ワキガは、一般的には、体の成長に伴い、小学生高学年の思春期ごろから、アポクリン汗腺が活動を活発化させることで起こります。
アポクリン汗腺から出る汗がフェロモンのような働きをしていることからも、大人へと成長する、正常な働き(変化)と考えていいでしょう。
一方で、先ほど紹介した食生活による影響、運動不足やストレス(精神的緊張による脂汗)により、ワキガが強くなることはあります。
女性の場合は、生理や妊娠などでホルモンバランスが変わることにより、ワキガのニオイが強く出る場合があります。
また、思春期の子供の場合、過剰に自分の臭いが気になる「自己臭症」という場合もあり、実際にはワキガでない場合もあります。
自分がワキガなのか良く分からない人は、自分で簡単にできる診断方法を試してみて下さい。
食生活や生活習慣を変えることで、多少ワキガの症状を軽減する事は可能ですが、完全に抑えることは出来ません。
ワキガの症状を根本的に直すには、ニオイの元なるアポクリン汗腺の働きを抑えるか(ボトックス注射や制汗剤)、手術して取ってしまうかしかありません。(ワキガの程度によって、最適な治療法は異なる)
決して1人で抱え込んで悩まないでください。ましてやワキガが原因でイジメられることなどもってのほかです。
まとめ
今回は、ワキガの原因について、「遺伝」とそれ以外の要因、「食事やストレス」などとの関係について、説明しました。
原因が分かったら、次は対策することが大事です。
まずは、手軽にできる食生活の改善やストレス解消から試してみてはいかがでしょうか?
次回は、実際に効果が実感できる具体的な対策、デオドラント製品の使用や治療法などについてお伝えします。
それでは、また次回。
次回は、
と題してお送りします。
コメント